就農外国人 期待と懸念 人手不足の解消 厳しい労働環境 – 東京新聞



一個一個手作業でハクサイを収穫するベトナム人の技能実習生たち=茨城県下妻市で

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 今月指針が決まった外国人の農業労働を国家戦略特区で解禁する新制度に関し、活用を目指す自治体が全国で少なくとも十一地域に上ることが二十九日、本紙の調べで分かった。現行で外国人受け入れの窓口となる技能実習制度は国際協力を名目とするが、新制度は農家での労働力の確保を目的とする。人手不足対策として各地で期待が高まるが、技能実習生が失踪するケースが増加しているほか、新制度で派遣労働の形態を導入することについての懸念も専門家から出ている。(矢野修平、写真も)

 政府は、特区の規制緩和項目に外国人の農業就労を追加し、今月十五日に実施の指針をまとめた。既に別の事業で特区指定を受ける愛知県と沖縄県は、来年中の利用を目指している。

 これに加え、関東では茨城県、群馬県が農業での外国人活用を盛り込む特区提案を政府に提出した。ほかに長野県、鹿児島県など農業が盛んな県や、市町村でも秋田県大潟村や鳥取県境港市などが特区指定を申請している。政府は年明け以降、特区の追加指定の検討を進める。

 新制度では、技能実習生ができない農産物の販売などを認めた。働ける期間は「通算三年」で、農閑期に帰国すればその期間は加算されず、収穫期の半年だけならば計六年の労働が可能だ。実習生は農家が直接雇うが、新制度は派遣会社が雇って農家に派遣し、労働者は複数の現場を移ることもできる。

 外国人の就労を巡るトラブルも多い。

 法務省によると技能実習生の失踪は今年六月までの半年で三千二百五人に上り、前年の年間五千五十八人を上回り過去最高のペースで増えている。厳しい労働環境になりがちな農業での失踪は建設業に次いで多い。雇用者の責任があいまいになる傾向がある派遣労働が状況を深刻化させるとの指摘もある。

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