松江の伝統 米子で紡ぐ 籐細工8代目の川口淳平さん – 山陰中央新報



花結びを取り入れながら籠を編む川口淳平さん=鳥取県米子市上福原3丁目、Mint Chu Chu Leather

 江戸末期から続く松江の伝統工芸「松江藩籐(とう)細工」の技術を、県境をまたいで継承した男性がいる。米子市上福原3丁目の革細工店を営む川口淳平さん(39)。後継者不在で、「最後の職人」となるはずだった松江市の長崎誠さん(73)の教えを受け、8代目となった。長崎家が創案した「花結び」を駆使し、黙々と作品を編み出している。

 水に浸して柔らかくした籐を重ね、ぐっと引き締める。しばらくすると、6枚の花弁が風車の羽根のように重なり合う「花結び」が出来上がった。「光に当たると美しい」と川口さん。陰影が、小花のふっくらとした立体感を強調した。

 花結びは、2代・長崎福太郎が考案した。炭を保存する「炭斗(すみとり)」などに使用し、見た目の華やかさから技術が全国に広がった。

 川口さんが籐細工に出合ったのは2009年。松江市内であった誠さんの作品展で、かばん用の丈夫な素材として目に留まった。

 100年持つといわれるほど耐久性に優れる籐は、しなやかに曲がる。誠さんにかばんの制作を持ちかけたが体調を理由に断られたため「ざる編みだけでもできれば」と毎週、松江の教室で手ほどきを受けた。

 「花結びをやらないか」。白羽の矢が立ったのは14年。川口さんの店「Mint(ミント)chu(チュ)chu(チュ)Leather(レザー)」で開いた誠さんの作品展で、来場者に花結びが好評だったと本人に伝えた時だった。

 長崎家はこれまで血縁者で技術をつないできた。専業の大変さを知る誠さん。川口さんのきっちりした編み目に加え、他に生業があったのも跡継ぎにした決め手だった。川口さんも「花結びがなくなるのはもったいない」と打ち込んだ。

 店には、革製品と帆布で作った商品と一緒に、誠さんと川口さんが籐で作ったかばんや花生け約20点が並ぶ。花結びと複数の編み方を組み合わせた1個20万円以上するかばんもあるが、「孫の代まで使う」と購入する人も少なくない。

 川口さんは「僕は師匠のファン」と自負する。現在も誠さんのもとに毎週通っては「師匠」に向き合い、共に技術を高めている。





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