近代稲作の恩人 紙芝居に – 読売新聞



 ◇除草機具「太一車」考案 中井太一郎

 ◇倉吉の中学生作画 授業や催しで活用

 倉吉市小鴨地区に住む元小学校長の北村秀徳さん(62)らが、同地区出身で明治期に水田の除草を効率よく行う農機具「太一車」を考案した中井太一郎(1830~1913年)の功績を紹介する紙芝居を作った。地元の中学生も作画に協力。小学校の授業や地域のイベントなどで活用されており、北村さんは「地元を知り、愛着を持ってもらうきっかけになれば」と期待する。(中田敦之)

 「太一車」は、柄の先に金属製の爪がついた車輪と稲の巻き込みを防ぐカバーを備えた農機具。柄を押すと、回転した爪が泥を掘り起こして雑草をからめとる。太一郎が62歳で考案して特許を取得。従来はかがんで行っていた草抜きの重労働を軽減でき、除草剤が使われ始める昭和30年頃まで全国で活用された。

 紙芝居づくりを発案したのは北村さんの義母、中井孝子さん(84)と友人の松本祐子さん(80)。中井さんは太一郎の遠縁にあたり、「地元の偉人を知ろう」と2人で2014~16年に受講した地区公民館の学習講座で太一郎の生涯について学び、「立派な人なのに知られていない。紙芝居を作って広く伝えたい」と北村さんに相談した。

 北村さんは「温故知新になる。農業のため、みんなのために働いた太一郎の信念は、人の心を打つはず」と賛同。生涯を紹介した本を基に、紙芝居の台本を書いた。「おろたえて(うろたえて)」「だらずけな(ばかばかしい)」など地元の方言を取り入れ、人柄がにじむよう工夫した。

 紙芝居「太一車の発明」はA2判14枚。作画は倉吉市立西、東両中学校の美術部員計12人に依頼した。切り絵で輪郭を表現した人物や風景に水彩絵の具で色をつけ、17年9月に完成した。題字は中井さんが手がけ、地元の読み聞かせサークルの女性5人の声を吹き込んだ「映像版」のDVDも作成した。

 授業で紙芝居を見た小学生からは「地元にすごい人がいたと初めて知った」「強い思いを実現する太一郎さんの姿が印象的だった」などと感想が寄せられた。中井さんは「ええ紙芝居が出来て、うれしいのなんのって」。松本さんも「自分たちだけでは無理だった。地域のつながりのおかげ」と喜ぶ。

 「太一車」を展示している倉吉博物館の関本明子・主任学芸員も「太一郎は農業改革で大きな足跡を残した人。地元住民が顕彰活動に取り組むことは、すばらしい」と歓迎。今後、地域の劇団が演劇に仕立てる構想もあるといい、北村さんは「太一郎の思いに触れ、社会や地域の発展に対して自分には何ができるかを考えてもらう一助にもなると思う」と話す。

 紙芝居は授業や地域イベントなどに貸し出している。問い合わせは倉吉市の小鴨公民館(0858・28・0964)。





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