名刀再現 鳥取の匠挑む – 読売新聞



 ◇国宝 名物童子切安綱

 ◇金崎さん、50年の鍛錬 全て注ぎ込み

 伯耆国出身の刀匠・伯耆安綱やすつなが手がけたとされる太刀「名物童子切どうじぎり安綱」(国宝)の複製に、鳥取市の刀匠・金崎秀寿さん(73)が挑んでいる。5月の「大山開山1300年祭」に向け、大山町の市民グループ「祈りの山『大山さん』を守る会」が昨秋、制作を依頼。金崎さんは「これまで培った経験すべてを注ぎ込みたい」と意気込む。(中村総一郎)

 童子切安綱は平安時代の作で、源頼光が酒呑童子を切ったという伝承にちなんで名付けられたとされる。豊臣家や徳川家が所有したとの文献も残っており、現在は、東京国立博物館が所蔵している。

 守る会が1300年祭に合わせ、名刀の〈里帰り〉を博物館に打診したが、「門外不出」として断られたため、県内唯一の刀匠である金崎さんに複製品の制作を依頼した。金崎さんは「刀匠にとって神様のような人の作品。私にできるだろうか」とためらったというが、刀匠として約50年の経験を生かして挑戦したいと引き受ける決意をした。

 原材料には安綱が使った可能性もある県西部の日野川(日野郡)で掘り出された鉄を使い、昨年10月から作業を始めた。鉄から作った鋼を熱してはつちで打ち延ばして何層にも折り返す「鍛錬」を繰り返すなどし、徐々に刀の原型を作っていく。

 童子切安綱は、美しい反りと、刃の表面に浮かび上がる曲線模様の刃文はもんが特徴。金崎さんは写真や拓本をもとに似せようとするが、「かなりの技術が必要。どんなふうにつくったのかわからない」と苦悩する。ただ、何度も作業を繰り返すうち、少しずつ曲線的な刃文が現れてきたといい、手応えを感じつつある。

 守る会の足立敏雄会長(67)は「鳥取には素晴らしい刀文化があることを、形として残したい。完成を心待ちにしている」と期待を寄せる。5月20日に開かれる大山寺開創1300年法要に合わせて同寺の宝物館で公開し、その後、各地で巡回展示することも考えている。

 金崎さんは3月までの完成を目指しており、「天下の名刀に少しでも近づけたいとの思いで、日々取り組んでいる。刀匠人生の集大成として全力を傾けたい」としている。





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