名作映画 米子へ届け20年 – 読売新聞



 ◇地元愛好家、単館系中心に米、印、エストニア幅広く130作品

 山陰で上映される機会が少ない単館系の作品を中心に名作を楽しむ映画サークル「米子シネマクラブ」(事務局・米子市)が、設立から20年の節目を迎えた。手弁当でスクリーンにかけてきた映画は計約130作品。今年は記念の上映会を企画しており、会長の吉田明広さん(49)は「映画は人生を豊かにしてくれる。これからも、いい作品を紹介していきたい」と話す。(中田敦之)

 米子シネマクラブは1998年10月、吉田さんら映画好きの有志10人が発足させた。境港市出身の吉田さんは高校を卒業後、専門学校を出て東京のアニメ制作会社に勤めたが、家業の電機会社を継ぐために28歳で帰郷。昭和の頃には5、6軒あった県西部の映画館が97年、わずか1軒になり、「映画文化を絶やしたくない」と2か月に1回、米子で上映会を開催し始めた。

 会員は現在、県西部や島根県東部在住の20~80歳代の135人。上映作品は、劇場公開後の映画から会員の希望で決める。運営費は1か月1000円の会費のみ。かつてはフィルムを、今はDVDを配給会社から10万円前後で借り、米子コンベンションセンター小ホールで上映している。

 扱ってきた作品は、「アリスのままで」「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」などの米アカデミー賞受賞作や、インドの物語「めぐりわせのお弁当」、エストニアが舞台の「こころに剣士を」など幅広い。上映会では、観賞後に会員同士で約30分、感想を語り合う。発足時からの会員、松本朋子さん(76)(日吉津村)は「世界中の人々の人生を追体験できるのが映画の魅力。意見を交わすと、違う見方や価値観にも触れることができて、作品を何倍も楽しめる」と笑顔を見せる。

 近年は娯楽の多様化などでスクリーンで映画を見る人が減り、会員数も当初の約300人から半減。約10年前には収支が合わなくなり、会費を750円から値上げした。それでも、吉田さんは「監督、役者、制作スタッフの思いを受け取るには、やはりスクリーンで見なければ。『いい映画を見せてくれてありがとう』と言ってくれる人がいる限り、続けたい」と力を込める。

 今月18日の上映会は、2016年のベルリン国際映画祭で審査員グランプリを受けた「サラエヴォの銃声」。3月17日は邦画「八重子のハミング」の上映を後援。20周年記念となる5月は島根の隠岐がロケ地になった「KOKORO」を取り上げる。

 吉田さんは「同じ趣味の仲間が集う会は、自分にとっても大事な場。将来は、映画の作り手を育成できるような集まりにしたい」と夢を膨らませる。問い合わせは同クラブ事務局(090・8248・9810)。





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