和牛選び 遺伝子解析で – 読売新聞



 ◇県が新施設 繁殖効率化図る

 質の高い和牛肉を生産するため、県は新年度、牛の遺伝子を解析する研究施設を琴浦町の県畜産試験場に整備する。牛の肉質などを決める遺伝子データを蓄積し、種雄牛選びなどに生かすことで肉質の良い牛を効率的に繁殖させる狙いで、解析機器の導入は都道府県で初めてという。県畜産課は「鳥取和牛のブランド化、価格向上につなげたい」としている。(中村総一郎)

 牛の遺伝情報は、DNAの塩基配列で決まるとされる。塩基を含む「遺伝子型」に違いがある場合、同種の生き物でも様々な「個性」が表れると考えられるため、研究施設では、各個体で違いがある遺伝子型の中から、肉の特性に関わっているとみられる約3万~5万個を解析。データと牛の肉質の情報とを照らし合わせ、個体の肉の量や霜降り具合などを推定する。

 これまで、優れた種雄牛を選ぶには、精子を採取し、人工授精で生まれた子牛の肉質を確認して適否を判断するしかなかった。時間もかかり、子牛が育つまで5年以上が必要だった。

 遺伝子解析を生かす新たな手法では、子牛を産ませなくても、種雄牛候補の牛の血液や毛根からDNAを取り出し、良質の肉を生み出す「能力」を推測することができ、効率的な種雄牛の選定が可能になる。また、優秀な子牛を産む雌牛を見極めることにも役立つ。

 県は、遺伝子と肉質の情報を照合して肉牛の繁殖につなげる研究を2013年度から開始。遺伝子解析機器がある農林水産省所管の独立行政法人「家畜改良センター」(福島県)に年2、3回ずつ検体を持ち込み、数千頭分のデータを蓄積してきた。照合作業と結果の分析は、センターを通すと数か月かかっていたが、今回、自前の研究設備を持つことで、県内の牛についてさらに多くのデータを集め、精度の高い分析を速やかに行えるようになるという。

 新たな施設は、試験場の敷地に研究棟(約520平方メートル)や牛約20頭を収容できる牛舎を新築し、米国製の解析機器を導入する。県は、必要経費計約4億9000万円を17年度一般会計補正予算案に計上し、2月1日の県議会で可決された。18年度中の完成を目指す。

 県畜産試験場の担当者は「牛の育種改良に全国の研究機関がしのぎを削っているが、遺伝子解析は、改良にかかる時間を大幅に短縮できる」と強調。「肉質だけでなく、繁殖能力や飼育のしやすさ、体形などと遺伝子との関連も調べ、県を代表する種雄牛『白鵬85の3』を超える牛をつくりたい」と話す。





コメントを残す