後遺症に負けず写真個展 病で駅伝断念 新たな目標 – 山陰中央新報



個展で展示する作品を前に思いを語る高橋椿太郎さん=境港市渡町、「SWING Caf’e」

 脳疾患の後遺症で失語症を患い、右目が見えにくくなりながら初の写真展を開く高校生がいる。平田高校3年の高橋椿太郎(しゅんたろう)さん(18)=出雲市下古志町=は陸上部で活躍していたが昨夏、病に倒れ、目標の全国高校駅伝出場はかなわなかった。だが、同じくらい好きな写真で目標を見つけ、入院中から作品を撮りためた。写真展は3日から境港市内で開く。「支えてくれた人に恩返ししたい」。写真の魅力とともに感謝を伝えたいと話している。

 中学で陸上を始め、高校では3000メートル障害の選手として2017年の県総体で3位に入るなど活躍した。ところが総体後の6月、自宅で突然倒れ、脳の病気が見つかった。9月に再び体調を崩して入院。2度の手術を受けたが、右目の視野を失い、思うように話したり、読んだりするのが難しくなった。

 厳しい闘病生活の中、症状や体力が少しずつ回復するにつれ、「何かやりたい」と思い始めた。小学生の時からカメラに親しみ、写真家の故・星野道夫さんの作品が大好きで、入院中もベッドで星野さんの作品集を眺めていた。

 10月ごろ、カメラを手に車いすで病院の敷地内に撮影に出てみた。雲がたなびく青空の下、綿毛を携えたタンポポが揺れる様子をとらえた。「風が冷たいことに気づいた。『(自分は)生きたんだ』という感じがした」と振り返る。

 12月に退院後も出雲市内などで撮影。母の知り合いで、境港市渡町のジャズ喫茶「SWING Caf’e」のオーナーに声を掛けられ、同店で個展が実現した。「1秒でも速く、一つでも上の順位を」と努力した陸上と同じように、写真展を目標に撮影に励んだ。

 月や梅のつぼみといった15点を並べる。「作品に込めた思いやストーリーを感じてほしい。言葉はなくても、元気になってもらえるかも」と笑顔を見せる。

 個展は26日まで。火曜と第2、4水曜は定休。





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