鳥取砂丘でファットバイクツアーを運営 小椋宣洋さん(47) 日常忘れ癒やす場に /鳥取 – 毎日新聞



鳥取砂丘でファットバイクの楽しさを語る小椋宣洋さん=鳥取市福部町で、園部仁史撮影



小椋宣洋(おぐら・のぶひろ)さん

 これまでに幾度も転職を経験し、タイヤの太さが通常の倍以上ある「ファットバイク」で鳥取砂丘や海岸を駆け巡るツアーを運営する。「でこぼこな道を走ってきたけれど、今は毎日が楽しくて充実している」と笑う。

 高校を卒業後、兵庫県の工場に就職。だが、持病の腰痛で動けなかったり人間関係がうまくいかなかったりして、タイヤ販売の営業や広告代理店のコピーライターなどを転々とした。

 8番目の職場となった段ボールの製造工場に務めていた42歳のある日、布団から動くことができなくなり、うつ病と診断された。妻と二人の子どもを養う中、「自分は駄目なやつなんだ」と思い詰めたこともあった。

 自宅に引きこもる日々が1年以上続いたころ、趣味だったマウンテンバイクにふと手が伸びた。仕事に追われて何年も触っていなかった。自宅近くの羽合海岸を走ると、目の前には砂と海だけが広がった。「自分の悩みなんてちっぽけだな」。もやもやが晴れた気がした。

 そんな時、「鳥取砂丘をみんなで走ったら気持ちいいだろうな」と考え付いた。砂丘の一部は車両が通れない自然公園に指定されているが、指定区域外の場所なら乗ることができるはず。すぐに県へ相談に向かった。

 「安全性は?」「タイヤの跡が景観を壊さないか?」。関係機関から次々と指摘を受けた。だが、これまでの職場で培った営業経験が生き、地道な説得を続けた。

 ツアーを初めた当初は利用者が少なかったが、自身で撮影した砂丘海岸の写真が昨年、インターネット上で「ボリビアのウユニ塩湖みたい」だと話題に。今は予約が殺到し、年間1000人以上が利用するほどになった。

 参加者から「嫌なことが忘れられた」「新鮮な気持ちでまた頑張れそう」などの声をもらうのがうれしい。「ツアーを通して、悩みを抱えた人が癒やされてくれればいい」と笑う。【園部仁史】


 ■人物略歴

 1971年水戸市生まれ。小学3年の時に倉吉市に引っ越し、県立倉吉工業高校を卒業。現在は湯梨浜町在住。2016年4月にファットバイクでの砂丘ツアーを運営する「トレイル・オン」を開業した。日本マウンテンバイク協会が公認するインストラクターの資格を持つ。ツアーの問い合わせは(080・1649・1796)。






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