鳥取の小さな珈琲屋が、ネットだけで年商20億売り上げた秘密とは? – 文春オンライン



澤井理憲氏

 インターネット上で一番、珈琲を売っている日本のお店をご存知だろうか。それは鳥取県の澤井珈琲。まだインスタントが主流だった35年前、夫婦で珈琲豆専門の一般向け販売を始め、自宅で豆を挽いて淹れる本格的な珈琲の楽しみ方を根付かせたお店。鳥取県はコーヒー消費量で全国上位に入っている。

 その息子の澤井理憲(まさのり)さんは2002年、楽天市場に「澤井珈琲 Beans & Leaf」を出店。商品のバラエティときめ細やかなサービスで頭角を現し、17年には楽天市場11年連続ショップ・オブ・ザ・イヤー、3年連続ベスト店長を受賞。16年には主要ネットモールで史上初の12冠を達成。ネットのみの年商は20億円を突破した。

「おかげ様で地元に第3工場も竣工して、1日平均ドリップバッグ15万個、珈琲豆8トン程度を出荷しています。僕1人で楽天市場を始めた時は、最初の1袋が売れるまでに45日かかったんです」

 売れなくても辛い、売れ始めてからも辛い。実店舗での仕事を終え、毎日深夜からネット注文に関する業務を1人で担当。数年間はソファに仮眠し、睡眠時間3、4時間という日々が続いた。

澤井理憲さんのインターネット通販に勝負を賭けた歳月の苦闘と、成功までの月日を綴った『奇跡の澤井珈琲』(宝島社刊)。ありきたりの成功者の物語ではない、正直な言葉が胸を打ちます。

「うちは両親がすごく働いていましたので、弱音を吐こうものなら、『死ぬ気で頑張りなさい』と(笑)。でも、ネットも実店舗も成功の鍵は全く一緒。大事なのは、人と人のつながり。お客様をどう喜ばせ、どうやって幸せにするかを一生懸命考えることです」

 妊婦も飲めるカフェインレス珈琲、認知症予防に効果があるとされるトリゴネリン配合の珈琲、お年寄りでも手軽に淹れられるテトラパック珈琲など、多くの澤井珈琲オリジナル商品を開発。珈琲だけでなく、紅茶やスイーツも100%自家製を提供する。

 専門家が分析する澤井珈琲の強さはリピート率の高さ。ネットで買った人の5割以上が、3ヶ月以内に再度購入しているが、澤井さんの書くメルマガが力を発揮している。

「中身は新商品やセールのご案内、お店での出来事などです。今日は5通送信しました。スパムメールみたいですが、購読者数60万人、いつの間にか、鳥取県の人口57万人を超えました(笑)」

 浅草店、銀座店に続いて、今年は東京で3つ目の店舗を開店予定。また昨年から楽天市場のリーダー店舗として、売り上げに苦戦する店舗への指導も行っている。

「他の店舗のお世話をすることでいま一度、自分が新鮮な気持ちに還れていることが嬉しい。いつまでも初心を忘れず、攻めの姿勢を持ち続け、これからもワクワクする店づくりに励みます!」

澤井珈琲のコーヒーは多種多様、その時々の用途、目的、気分で選べるワクワク感に満ちている。写真は、ご高齢の方にも手軽に淹れられるコーヒーバッグのテトラタイプ。認知症予防に効果のあるとされるトリゴネリン高含有の「トリゴネコーヒー(R)」にもこのテトラタイプが使われている。 写真提供:株式会社澤井珈琲

最高級のブルーマウンテンNo.1を70%使用した澤井珈琲の極上のアイスコーヒーは煌めく金色のボトル入り。ギフトの他、自分へのご褒美に購入する人も多い。 写真提供:株式会社澤井珈琲

さわいまさのり/1975年、鳥取県生まれ。米子南商業高校卒業後、両親が経営する(有)澤井珈琲に入社。鳥取・島根の店長を経て、2002年、楽天市場に「澤井珈琲Beans & Leaf」を設立。創意工夫とお客さんへの行き届いた心遣いで、売り上げを伸ばし続け、“ネットで一番売れる珈琲屋さん”に。

取材・文:樋渡優子





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