アスベスト:怖さ知って 前橋で21日、相談・講演会 /群馬 – 毎日新聞 – 毎日新聞




 アスベスト(石綿)による健康被害に関する相談会と講演会が21日に前橋市民文化会館(前橋市南町3)で開かれる(無料、予約不要)。高度成長期に建てられた建物の解体工事が増える中、今後被害がさらに増える見込みだが、県内は療養費など救済された人の割合が全国平均を下回る。「一人でも多くの人がアスベスト被害の怖さを知って救済につなげてほしい」。アスベスト被害で夫を亡くした前橋市在住の遺族女性らが16日、県庁で記者会見して訴えた。

 記者会見したのは、2014年にタイル工だった夫・利雄さん(当時67歳)を悪性胸膜中皮腫で亡くした前橋市の栗田悦子さん(68)と、20歳ごろに石綿吹きつけ作業のアルバイトで中皮腫を患った東京都の千歳恭徳さん(67)。

 栗田さんによると、利雄さんは頻繁に健康診断を受けていたが、中皮腫を発症してからわずか2年5カ月後に亡くなった。夫の収入が途絶えて途方に暮れていたが、被害者らを支援する「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」などを通じて補償制度を知り「救われた」という。

 千歳さんが発病したのはアルバイトから30年あまりが過ぎた53歳の時。早期に右肺を切除し、その後は目立った異常は見られないが、「たった30日間のアルバイトだったが、30年以上たって発病した。アスベストの怖さを知り、一日も早く発見・治療することが大切」と呼びかけている。

 家族の会によると、アスベストは1960年代に輸入量が急増し、70~90年代に建設現場などで大量に使われた。吸い込むと、中皮腫や肺がんなどを誘発する。建設・製造業の労働者のほか、家族や使用施設の周辺住人の発症例もあり、今後、解体工事や自然災害で倒壊した建物から飛散する危険性も指摘される。

 製造販売は12年に全面禁止されたが、中皮腫の潜伏期間は平均約40年とされ、近年、発症患者が急増している。厚労省によると、95年以降、全国で約2万人がアスベストに起因する中皮腫で死亡し、県内でも226人が亡くなった。

 しかし、家族の会の事務局「全国労働安全衛生センター連絡会議」の推計では、労災保険や石綿救済法による療養費など何らかの救済を受けた人は地域で差がある。県内の場合、中皮腫患者で64・2%にとどまり、全国平均の74・4%を下回る。肺がん患者では全国平均(16・1%)の約半数の8%という。

 アスベストの被害者らは「中皮腫サポートキャラバン隊」を結成し、昨年9月から全国各地で交流会や講演会を重ねている。

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 21日は午後1時から、千歳さんを含むキャラバン隊のメンバーらが講演し、午後3時から交流会を開く。相談会は午前10時~午後4時で、対面と電話で受け付ける。

 問い合わせと相談は家族の会関東支部(0120・117・554)。【杉直樹】






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