コレ推し!:島根 加賀の潜戸 松江市 雄大な洞窟に神仏融合 /中国 … – 毎日新聞





旧潜戸、幼子供養の地蔵並ぶ/新潜戸、神が金の矢射る伝承

 日本海に面する島根半島北部の海岸に、雄大かつ神秘的な洞窟「加賀(かか)の潜戸(くけど)」が広がっている。国の名勝と天然記念物に指定され、大山隠岐国立公園の一部だ。さらに昨年末、潜戸を含む「島根半島・宍道湖中海」が日本ジオパークに認定された。ジオパークとは「大地の公園」の意味で、貴重な地形や地質、文化の遺産を保護しながら教育や観光に生かしている。【根岸愛実】

海岸の生々しい地形を間近に見ることができる=松江市島根町加賀で、根岸愛実撮影

 この潜戸を巡る遊覧船に乗ろうと、松江市中心部から車で約20分の「マリンプラザしまね」(同市島根町加賀)を訪ねた。その2階ではジオパーク全体を紹介する新たな展示が5月13日に完成予定だ。船乗り場の近くでは親子連れが釣りに興じている。

 神話や地質の解説を聞きながら約50分の遊覧を楽しむ船は3月から11月にかけ、1日8便ある。チケットを買い、ライフジャケットを身につけて屋根の付いた白い「なぎさ号」に乗り込む。窓はなく、晴れた日には海を渡る風と水しぶきが気持ちいい。

旧潜戸の「賽の磧」=松江市島根町加賀で、根岸愛実撮影

「旧潜戸」には子どもたちの魂を供養する地蔵が並ぶ=松江市島根町加賀で、根岸愛実撮影

 間もなく、加賀港の正面に見える洞穴「旧潜戸」の桟橋に着いた。「ここは、幼くして命を落とした子どもの魂が集まる場になっています」。上陸し、階段を上ってトンネルをくぐると小さな湾に出た。「賽(さい)の磧(かわら)」と呼ばれる場所で、子どもたちの霊が積んだとされる石の塔がある。その奥には子どもたちの魂を供養する地蔵がいくつも並んでいた。鳥取県境港市出身の漫画家、水木しげるもここを訪れたという。

 次は「新潜戸」だ。「出雲国風土記」に、神様が金色の矢を射ったとの伝承が残る。船は幅の狭い入り口をそろそろと進む。洞窟の天井から水滴が落ちてくる。「これは中に入るための清めの水です」。ひんやりとしている。神社の名残を示す鳥居があった。

「新潜戸」西側の岩穴から東側、数百メートル先の「的島」まで一直線に穴が空いているのが見える=松江市島根町加賀で、根岸愛実撮影

 洞窟を出ると、数百メートル先の「的島」まで一直線に断崖に穴が空いている光景を目にする。的島の穴は、神様が射った矢が開けたとの伝承がある。地蔵の並ぶ旧潜戸は「仏潜戸」、神話の伝わる新潜戸は「神潜戸」とも呼ばれる。

 「なぎさ号」を降りると、まるで異世界から戻ってきたような気持ちだ。大地の運動のダイナミックさ、そして祈りと神話に満ちた静謐(せいひつ)さ。とても豊かな旅だった。


メモ

 「マリンプラザしまね」までは、JR松江駅からバスを乗り継ぎ約40分。「加賀の潜戸」を巡る遊覧船は、大人1500円(小学生700円)。遊覧船には事前予約制の「多古の七つ穴コース」もあり、約80分かけ、加賀の潜戸に加えて東側の多古鼻も巡る。1組6人以上から運行し、前日まで予約可能。大人2000円(小学生1000円)、15人以上で1人1800円。






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