高級志向と安さ重視 – 山陰中央新報



 以前、松江市で行列を見つけて、並んでみると全国に展開する食パン専門店だった。こだわりの品で確かにうまいが、値段もそれなり。鳥取市では成り立つまいと思っていたので、できたと知ったときは意外に感じた▼松江人は高級志向で、鳥取人は安さ重視-。ともに県都で城下町ながら、食べ物へのお金のかけ方に対照的な印象がある。かつて鳥取から松江に引っ越した時、高級スーパーがあるのに驚いた▼数字が裏付ける。総務省家計調査によると、1世帯1カ月当たりの食料費は、松江が7万3698円で全国平均7万2866円を上回り、鳥取は6万8355円。47都道府県庁所在地別の外食の年間支出額を見ても、ここ3年間の平均値で松江が約16万円で29位、鳥取は約13万円で45位▼練り物文化でみると、鳥取人が好むちくわは、松江の野焼きより安い。おやつ感覚で食べ「腹減った」「冷蔵庫にちくわがある」というのが家庭の会話。野焼きのように贈り物になることもなく「○○社のじゃないといけんぞ」といったこだわりもない▼麺文化では、鳥取人はうどん好きで、松江人はそば好き。鳥取のセルフ店では、うどんに合わせるトッピングをしても500円で足りるが、松江のそば店でそうはいくまい▼とうふちくわの祖とされる鳥取藩主・池田光仲は安い豆腐を食べるよう質素倹約を説いたのに対し、松江藩主・松平不昧は食通のイメージがある。殿様のキャラクターが市民性として今も息づくのか。食パンから想像が膨らむ。(志)





コメントを残す