左足不自由な男性が大陸横断へ サイドカーで妻と – 神戸新聞



 脊髄性小児まひと交通事故の影響で、左足が不自由な大野浩さん(64)=兵庫県三田市=が、妻の博美さん(42)とサイドカー付きバイクでユーラシア大陸を横断する旅を計画している。世界中をバイクで旅してきたが、6年前の事故でバイクに乗れなくなり、注目したのが安定して走行できるサイドカーだ。来年4月の出発を目指して準備を進める大野さんは「障害も旅も逆境を乗り越えてきた。生きている限り大丈夫」と豪快に笑う。(山脇未菜美)

 大野さんは1歳10カ月で脊髄性小児まひになり、幼い頃から左足をひきずって歩いていた。中学時代は同級生によくからかわれた。バイクに出合ったのはその頃。教員のミニバイクに乗せてもらい、体に伝わるモーターの振動、風を切るような音に鳥肌が立った。「走っているという感覚を初めて知った」と振り返る。

 19歳で自動二輪の免許を取得し、兄と共同で買ったバイクを乗り回した。九州一周を最初に、5年間かけて日本全国をツーリング。雨に見舞われ、口が動かないような寒い日もあったが、走り終えた達成感が自信につながった。高校卒業後は、旧電電公社(現NTT)で働きながら世界に挑戦。2010年までにグループや個人で中国や北米、ヨーロッパ大陸など計8回約8万キロを走破した。

 しかし58歳の時、バイクを運転中に車と衝突し、左ひざを粉砕骨折した。5回手術をしたが、リハビリしても足は曲がらず、松葉づえが手放せなくなった。

 バイクに乗れなかったら人生の意味がない…。へこたれていても仕方ないと解決策を探し、サイドカーに注目した。安定性が高く倒れないので、足が不自由でも運転できる。隣に人も乗せられるため、世界を旅したことのない博美さんにも新しい世界を経験させてあげられると思った。

 計画中の旅は来年4~10月、ロシアからポルトガルを往復する約4万キロを予定。鳥取県境港市からフェリーでロシア・ウラジオストクへ。ロシア南部を西へ進み、ドイツやスペインなどを回った後、再びロシア南部に入り東へ進む。

 旅は困難が予想される。松葉づえでは荷物を運ぶのも一苦労だ。でも「旅の面白さを知ってるからやめられない」と大野さん。これまでの旅で、車いすでロッククライミングに挑戦し、松葉づえで砂漠を歩く旅人たちにも出会った。「自分もまだまだやれると思える」と笑う。

 心の根底には、今も幼い頃から悩んだ障害へのコンプレックスがあるという。「だからかな、障害があっても無限の可能性があることを示したい」





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