県手話条例 日常に浸透 : 地域 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) – 読売新聞



 ◇施行5年 高校科目にも

 ◇通訳不足 専門職の養成を

 都道府県で初めて、手話を言語と認めた県の「手話言語条例」が2013年に施行されてから10月で5年になる。一部の県立高校で手話が必修科目になるなど、手話は日常に浸透しつつあるが、聴覚障害者の社会参加を支える手話通訳者の確保が難しいなどの課題も浮き彫りになってきた。県聴覚障害者協会は「条例は、人に例えれば5歳児。まだまだ地道に手話普及の努力を続けなければ」とする。(中田敦之)

 「趣味はプロレス観戦」「韓流ドラマが好き」「手話で会話が出来るようになりたいです」――。岩美町の県立岩美高で6月、3年生の手話の授業が行われ、生徒20人が県立鳥取聾学校高等部の生徒4人と手話で交流した。

 同高は16年度、福祉類型の授業に手話を導入。17年度からは週2時間の必修科目にした。両校の生徒はこの日、趣味の話題などで盛り上がり、聾学校の山下美樹教諭(57)は「同世代の相手と触れ合う機会は大事。輪が広がってくれれば」と目を細めた。

 聾学校高等部3年前田航季さん(17)は「たくさん話しかけてくれて、楽しかった」。岩美高3年石田楓太さん(17)は「手話が通じた時はうれしかった。学校の外でも、耳が聞こえない人がいたら話しかけたい」と笑顔を見せた。

 条例は、聞こえる人と聞こえない人とが共生できる社会の実現を目指す。岩美高の小山元司教諭(49)は「手話も、話し言葉の日本語や英語と同じように相手と気持ちをやりとりする手段。生徒には、温かみが伝わる手話を身につけてもらいたい」と話す。

 県障がい福祉課によると、県立高校で科目として手話を教えているのは現時点で岩美高と米子高の2校。県は23年度の目標として「学校での手話の取り組み実施率100%」を掲げ、各校に手話ハンドブックや教材を配布し、支援員を派遣するなどして手話に親しむ機会を増やそうと努めている。

 耳が聞こえない人の社会参加を促す取り組みも続く。県内の聴覚障害者は約3000人。県は、生活支援としてタブレット端末による遠隔手話通訳などのサービスを実施。利用は15年度の計311件から17年度には489件に伸びた。県による手話通訳者派遣事業も、13年度の693件から17年度は897件に増えた。

 しかし、県から手話通訳者派遣の委託を受ける県聴覚障害者協会によると、県内の登録手話通訳者数は54人。通訳は専門職ではなく、本業を持つ人がほとんどで、派遣の要望に対応するには、スケジュール調整に手間取るケースも多いという。

 同協会事務局長の石橋大吾さん(45)は「条例ができて社会参加したいと考える聴覚障害者が増えた分、手話通訳者の数が足りなくなっている。通訳者を専門職として養成する仕組みが必要」と訴える。

 県障がい福祉課の小沢幸生課長(40)は「手話は聴覚障害者の生きる権利と密接につながっている。誰もが手話を使える、聞こえる人と聞こえない人が分け隔てなく交流できる社会づくりを進めたい」と語る。





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