愛し描いた 故郷と家族 – 読売新聞



 ◇イラストレーター・毛利彰さん

 ◇14日から鳥取で没後10年展 ポスター原画も

 鳥取市出身で、2008年に73歳で亡くなったイラストレーター毛利彰さんの没後10年記念展「毛利彰とその家族」が14日から、同市青谷町の市あおや郷土館で開かれる。ファッション性の高いポスターや故郷、家族を描いた作品などで軌跡をたどり、長女で同業のみきさん(55)(京都市)は「鳥取を愛し、家族を大切にしながら絵を描いた父の人柄を感じてもらえれば」と話す。8月26日まで。(中田敦之)

 彰さんは県立鳥取西高を卒業し、1957年に22歳で百貨店の伊勢丹(東京)の広告を描く専属イラストレーターになった。71年にフリーに転身した後も雑誌や本の表紙、小説の挿絵、企業ポスターなどを数多く手がけた。

 会場には、華やかな衣装の女性モデルを描いた伊勢丹のポスター原画や、妻の雅子さん(89)(鳥取市)が赤ん坊を抱く姿のデッサン、高校時代の油絵など1953年~2005年に手がけた計約70点を展示。みきさんのイラスト40点と日本画家だった彰さんの父と祖父の絵も並べる。

 彰さんの絵は、写真をもとに人物などを写実的に描く手法が特徴で、伊勢丹のポスターは衣装のしわや柄まで細かく表現。家族に「ちゃんと描きたいんだ」と話していたといい、雅子さんは「『アトリエには入るな』と、よく言われた。すごく集中して丁寧に作業していた」と振り返る。

 みきさんがモデルの「コスモスと少女」や故郷の海を題材にした「夏泊」は、滑らかな女性の肌や髪の毛、岩肌や鳥の羽まで緻密に描写。雑誌のカバーイラスト「学研歴史群像シリーズ・毛利元就」は甲冑かっちゅうを着た自身の写真を素材にしたという。

 彰さんが幼い頃、毛利家は鳥取市内に複数の貸家を持つ資産家だったが、14歳の時に父が死去。17歳だった1952年には鳥取大火で貸家が焼失し、生活が苦しくなった。今回の展示では、高校時代に教師の厚意で学費代わりに描いたという油絵も紹介。みきさんは「父は、自分が絵を描き続けられたのは鳥取の人たちや家族のおかげだと感じていたと思う。だから、故郷を愛し、よく描いた」と語る。

 郷土館学芸員の奥村寧子さん(37)は「オリジナリティーにあふれ、当時の最先端だった創作活動の原点は鳥取にある。地元ならではの企画展を通じ、幅広い世代に毛利さんの仕事を知ってもらうきっかけになれば」と期待する。

 午前9時~午後5時、入場無料。17、23、30日と8月6、20日は休館。初日の午後2時から、みきさんのギャラリートーク(無料)もある。問い合わせは市あおや郷土館(0857・85・2351)。





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