智頭の歴史 学ぶトランプ – 読売新聞



 ◇環境大 中西さん 絵柄手描き

 ◇偉人、逸話、特産品

 智頭町に住む公立鳥取環境大4年の中西柾人さん(21)が、町について楽しく学んでもらおうと、歴史や町出身の偉人、特産物などを絵柄にした「智頭歴史トランプ」を考案した。町内で住民らと遊ぶイベントを開催しており、中西さんは「長年、住んでいても知らないことが多い。トランプをきっかけに智頭の町に興味を持ってもらえれば」と話す。(河合修平)

 「諏訪神社の柱祭りは、江戸時代の大火をきっかけに火難よけを願って始まった」「日本初のマラソン大会で優勝したのは、智頭の綾木長之助」――。中西さんは町の生まれで、地域振興に取り組む住民グループ「百人委員会」に所属。お年寄りらと話をしていると、初めて耳にする地域の歴史や各界で活躍した町出身者のエピソードがたくさんあることが気になっていた。

 自身も町を知ろうと、図書館で厚さ10センチ以上ある町誌を開いたが、記述が多岐にわたり、どの部分に注目すればいいか、よく分からない。「もう少し分かりやすく、町のことを学べる方法があれば」。思い浮かんだのは、子どもの頃に家族で旅行した奈良で買ってもらったトランプ。大仏や鹿、寺院の写真などがあしらわれ、何度も遊ぶうちに、自然と奈良の歴史や特徴が頭に入ってきた。「いろいろな遊び方があるトランプなら、楽しく学べて、世代を超えて町の人たちが交流できるきっかけにもなる」と2017年1月、智頭町のトランプを作り始めた。

 明治時代に困窮した村を元気にしようと青年たちが始めた「新田人形浄瑠璃」、父が町出身だったロシア語通訳者で作家の「米原万里」、中国地方で最大級とされる縄文時代の集落跡「智頭枕田遺跡」。町誌を含め、図書館で歴史や風習などに関する書籍約50冊を読みあさり、題材を探した。興味を持った事柄や多くの人に知ってもらいたいと感じた事象などを選び、絵柄は資料をもとに手描きしたイラストをパソコンに取り込んで作画ソフトで色をつけ、印刷。名刺サイズの紙に貼り付け、4か月かけて54枚1セットのトランプを4組、完成させた。

 町の公民館や集会所などでトランプ遊びのイベントをこれまで6回、開催。「この人、会ったことがある」「初めて知った」。絵柄を見て語り合う参加者たちの姿に、「作ってよかった」と感じた。イベントに参加した同町の美容師尾坂陽子さん(52)は「意外と知らない地域の歴史を学びながら、町の人たち同士で楽しく交流できる場ができて、うれしい」と喜ぶ。

 現在、新たに県東部を題材にした「因幡の歴史トランプ」も作成中。年内の完成を目指し、智頭歴史トランプとあわせて量産も検討しているといい、中西さんは「学校の授業などでも採用してもらえれば。より多くの人に地域の歴史を楽しく学んでほしい」と語る。





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