毒キノコ 見た目ダケじゃ・・・ – 朝日新聞社



【きのこセンター研究所に持ち込み増加】

 山で採った野生キノコが食べられるかを鑑定してもらうため、一般財団法人「日本きのこセンター」の菌蕈(きんじん)研究所(鳥取市古郡家)にキノコを持ち込む人が増えている。例年に比べてこの時期のキノコの発生数が多いことが背景にあるという。同センターは毒キノコに注意するよう呼びかけている。

◆珍種・不明種・・・ 顕微鏡観察やDNA鑑定も

 11日、同センターで2人の男性がキノコの鑑定を待っていた。八頭町で4年前からシイタケなどを栽培しているという森脇進さん(74)は、4センチほどの白くて丸いキノコを鑑定に出した。「ほだ木の近くに出てきた。初めて見たので」と、キノコの名前と食べられるかどうかを聞きに来ていた。図鑑で「スッポンタケ」という食用キノコだったという説明を受け、メモをとって帰っていった。もう1人の男性も食べることができるナラタケと聞いて安心した様子でキノコを持ち帰った。

 野生キノコの分類を研究している同センター主任研究員の牛島秀爾(しゅうじ)さん(38)によると、キノコはその年の雨や気温によって発生状況が変わる。今年は梅雨の時期にあまり雨が降らず、9月にまとまって降ったため、夏に発生しやすいキノコが遅れて秋のキノコの発生時期と重なった。

 鑑定に訪れた人は9月後半から110人以上で例年のこの時期と比べて多いという。牛島さんは「珍しいキノコや所属もわからない不明種も出ています」と話す。

 キノコは形や色などの特徴によって見分ける。ただ、雨などでぬれた状態だとその特徴がなくなったり、成長度合いによって特徴が変化したりすると、見た目だけでは分からない場合もある。種類を正確に特定するため胞子や傘の表面を顕微鏡で観察し、DNAを調べることも必要だという。

 キノコが増える時期は中毒事故も起きる。食用に似た毒キノコを食べてしまうことが原因だ。シイタケに似たツキヨタケは、もっとも中毒事故が多い毒キノコ。ブナに群生し、食べると下痢や嘔吐(おうと)などの症状を引き起こす。柄は傘の横に付いて短く、根元の肉に黒いシミがあるのが特徴。

 同じく毒を持ち下痢や嘔吐を引き起こすクサウラベニタケも食用のウラベニホテイシメジに似ているため誤って食べてしまう事故が多発しているという。クサウラベニタケのほうが苦みがなく、むしろ食べやすいらしい。

 鮮やかな赤だいだい色のカエンタケは猛毒を持つ。触ると皮膚がただれ、食べると死に至ることもある。夏が暑い年の晩秋に多く生え、身近な公園などにも生えることがある。

 野生のキノコを見分けるには経験が必要だという。「毒キノコでもナスと一緒に煮たら食べることができるとか、塩漬けにしたら毒が抜けるというのはただの迷信です。自分の判断で食べないように」と牛島さん。鑑定依頼は無料だが、持ち込む際は、状態のいいものだけを種類ごとに分けて持ってきてほしいという。(田中泰子)

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 日本きのこセンター

 1958年設立。所在地は鳥取市富安。原木シイタケの栽培指導や担い手の養成研修などに取り組む。理事長は元参院議員の常田享詳氏。

 59年設立の菌蕈研究所は菌類の分類など基礎研究のほか優良品種の開発など応用研究も手がける。





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