地域を味わう[鳥取・ベニズワイガニ]妖怪たちと豊漁祈願 – 秋田魁新報



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ベニズワイガニを使った「カニの甲羅茶わん蒸し」

 鳥取県西部に位置し、かつて北前船も寄港した境港市の境漁港は、カニの水揚げ量日本一を誇る。主力は地元で「ベニガニ」と呼ばれて親しまれているベニズワイガニだ。

 同じカニでも、成長した雄は「松葉ガニ」と呼ばれて高級食材に位置付けられるズワイガニに対し、大量に水揚げされる真っ赤なベニガニは下に見られがちだが、みずみずしい甘みが特徴で、味覚は負けていない。そんなベニガニの価値向上を図る活動を続けているのが、2005年に住民有志が結成した「境港ベニガニ有志の会」。

 カニの着ぐるみ姿で市内のイベントに登場し、ベニガニたっぷりのかに汁を振る舞うほか、市と連携して園児を対象にした食育授業「かに集会」を実施。漁具のカニかごやカニ料理を紹介し、子どもたちの視覚や味覚に訴えながら生態や漁法、調理方法を楽しく伝えている。

 ベニガニ料理の普及にも注力する。水産関係者でつくる市産地協議会が17年に作成した、カニの甲羅茶わん蒸しなど手軽な調理方法を記した冊子で監修を担当。浜野政和会長(43)は「濃厚で甘みが強いのがベニガニの特徴。ズワイガニよりも安く、さまざまなメニューづくりに挑戦できる」と話す。

 飲食関係者らでつくる「境港ベニズワイガニ料理推進協議会」が、ベニガニ1匹を丸ごと使った「境港新かにめし」を11年に開発。見た目の迫力も手伝い、ご当地グルメとして観光客らに喜ばれている。

 観光と連携した取り組みも定着。水産、観光関係者でつくる実行委員会は毎年1月、アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」で知られる同市出身の漫画家・故水木しげるさんが描いた妖怪のオブジェが並ぶ水木ロードで豊漁祈願のカニ感謝祭を開催。市民や観光客にかに汁を振る舞い、楽しませている。

 水木ロードは今年7月にリニューアルオープン。夜間照明で妖怪の影絵を映し出すなど夜の町歩きも楽しめるようになった。

 2カ月の休業期間を終えて、今年も9月1日にベニガニ漁が解禁された。「ロードのリニューアル効果もあり、需要の高まりが見込まれる」と実行委の越河彰統会長(56)。市水産課の松本貴志課長(53)も「妖怪とベニガニは境港に人を呼び込む大切なツール。今後も積極的にPRしたい」と意欲を見せる。

 (山陰中央新報社)

【ベニズワイガニ】

名前の通り、鮮やかな紅色と甘みが特徴。境漁港を拠点とするカニかご漁船は鳥取、島根、新潟3県の11隻で、漁期は9月から翌年6月まで。水揚げ量は減少傾向で、昨季(2017年9月~18年6月)は前年同期比17・2%減の6445トン。





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