後継難の中小企業 支援 – 読売新聞



 ◇県、同業他社など事業承継

 ◇相談2年で2倍 需要増、米子にも拠点

 県内の中小・零細企業で、後継者不足が深刻化している。県内企業の7割以上で後継ぎがいないとする調査結果もあり、経営者の高齢化で今後、休廃業や解散に追い込まれる企業が続出するとみられる。国や県などは同業他社などに事業や株式を引き継ぐ「事業承継」の支援に力を入れており、県内の窓口でも相談件数が増えている。(田村勇雄)

 「会社が継続することになり、安心しました」。総合食品卸売業「田中善次郎商店」(倉吉市上井町)で約30年勤める女性従業員は、ホッとした様子で話した。

 同社は前の経営者が高齢で、後継者もいなかったことから、2017年7月に同業の「徳田商店」(鳥取市南安長)のグループ会社となった。徳田商店から派遣された矢部隆部長(63)は「田中善次郎商店の長年の顧客と家庭的な雰囲気を大切にしながら、徳田商店のノウハウを徐々に移管したい」と力を込める。

 県東部を拠点としてきた徳田商店にとっても、取引規模を拡大できる魅力があった。田中善次郎商店の従業員十数人と取引先を引き受けたことで、18年3月期の売上高は11か月で前年度決算(17年4月期)を3%上回った。

 田中善次郎商店の社長に就任した徳田商店常務の徳田豪さん(38)は「さらに西部地域へも取引を拡大したい」と意気込む。

 両者の事業承継を成立させたのは、「県事業引継ぎ支援センター」(鳥取市)だ。県産業振興機構が国から運営を委託されて15年5月に開設。事業の譲渡や、譲り受けを希望する双方の経営者から相談を受け、税理士や弁護士といった専門家がM&A(企業の合併・買収)などを手助けする。

 背景には、経営者の高齢化で休廃業する企業が県内でも増えている実態がある。信用調査会社の帝国データバンク鳥取支店によると、17年に休廃業、解散を余儀なくされた県内企業で、経営者の年齢が分かる118社のうち75・4%は60歳以上だった。

 県内1162社を対象に昨年行った別の調査でも、「後継者不在」と答えた企業は72・6%と全国平均(66・5%)を上回った。業種別では卸売業とサービス業、建設業が多く、経営者が60歳以上という企業の55%に後継者がいなかった。

 同支店の担当者は「事業承継がスムーズに進まなければ、年を追うごとに休廃業、解散が増加する」と警鐘を鳴らす。

 各企業も危機感を募らせる。17年度に支援センターに寄せられた相談は91件と、15年度(44件)の2倍を超えた。マッチングの成約件数も17組で、15年度(2組)から大幅に増加している。事業承継に対するニーズの高まりを受け、18年9月には、県西部の拠点となる「県事業承継ネットワーク西部拠点」が米子市内に新設された。

 県事業引継ぎ支援センターの福田雅弘センター長は「マッチングの相手先が見つかるまでには少なくとも8~9か月はかかる。事業承継が必要と感じた経営者は、できるだけ早く第一歩を踏み出してほしい」と呼び掛けている。





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