どうする?危ないバス停 86カ所が横断歩道にかぶり – 東京新聞



女児がはねられた現場。事故後もバスは横断歩道上に停車している=1日、横浜市西区で

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 横浜市西区で8月、停車中の市営バスの後ろを横断していた小学5年の女児(10)が車にはねられて死亡する事故があった。停留所と近接している横断歩道をふさぐ形でバスが止まる「危ないバス停」で降車した直後だった。以前から、心配する声が住民から上がっていた一方、停留所は簡単には動かせない事情があり、市は難しい対応を迫られている。 (鈴木弘人)

 「幹線道路が近く、横浜駅方面への抜け道で交通量が多い。いつか事故が起こるんじゃないかと思っていた」。現場近くに住む男性(50)は、長女(4つ)と手をつなぎながらこう訴えた。

 事故は八月三十日午後四時二十分ごろ、同区北軽井沢の信号のない交差点で起きた。女児は自宅近くの三ツ沢南町停留所でバスを下車。横断歩道がふさがっていたため後ろに回って道路を渡っていたところ、対向車線を走ってきた軽ワゴン車にはねられ、全身を打って死亡した。

 道路の幅は六メートルほどで歩道はなく、バスが停車していれば対向車線の車からの視界は限られる。軽ワゴン車を運転していた男(36)=自動車運転処罰法違反(過失致死)で起訴=は県警の調べに「気付いた時には間に合わなかった」と供述している。

 バス事業者が、信号のない横断歩道の近くに停留所を設ける際の全国的な基準はない。県警は一九九七年以降、横断歩道との間隔を三十メートル程度空けるよう求めているものの、三ツ沢南町停留所が設置されたのは六〇年代前半。当時は事業者任せだったとみられる。

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 事故を受け県警は、横断歩道にかぶってバスが止まる停留所がないか県内全域で調査。現場を含め八十六カ所見つかり、特に危険と判断した停留所を月内に公表する。交通規制課の担当者は「バス停の移設や廃止を事業者に促したり、注意喚起を呼び掛ける看板を設置したりと、住民の意見を聞きながら改善していきたい」と話す。

 ただ、停留所を動かすのは容易ではない。「乗客が列をつくり、騒音もある。移す先の住民から理解が得られない場合もある」(市交通局)のが実情で、市は今のところ、現場付近に横断の注意を促す看板を設置するなどの対策を取る程度にとどまっている。

 横浜国立大の中村文彦教授(都市交通政策)は、乗降中のバスの横を車で通る際は徐行が基本とした上で、「危険な停留所を設置していた市と県警にも責任がある」と主張。「高齢化が進む中、移動手段としてバスの重要性は増していく。停留所が本当に安全な場所にあるか点検し、必要に応じて隣接地を借りるなどして移設を進めるべきだ」と述べた。

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