抑留、戦争の記憶 後世に 山陰両県有志でネットワーク – 山陰中央新報



シベリア抑留や戦争、人権侵害の記憶を伝えようとネットワーク作りに乗り出す斎藤貴子さん(資料)

 シベリア抑留や戦争、人権侵害の歴史を後世に引き継ごうと、斎藤貴子さん(61)=島根県浜田市三隅町湊浦=が、山陰両県で有志のネットワーク作りに乗り出す。親交のある鳥取県西部の抑留体験者でつくる団体が開いている「語り継ぐ集い」が高齢化で継続が難しい見通しとなり、継承が課題となるのを目の当たりにして決断した。斎藤さんは「活動を終わらせず引き継ぎ、次の世代に伝えたい」と意気込む。

 斎藤さんは益田市立高津中学校で非常勤講師を務める。中学校で英語を教える傍ら、40代の頃から戦争や原爆、飢餓、差別などの問題について授業してきた。教え子を病で失い「命なしでは何も始まらない」と痛感したのが、平和や人権の学習に力を入れるきっかけになった。

 体験者に話を聞き、生の声を集めることに力を入れた。3年前、全国強制抑留者協会鳥取県支部(米子市)が抑留犠牲者の慰霊祭を終えるとの記事を読み、支部長の井上万吉男さん(93)=米子市東福原6丁目=に連絡。面談して聞いた体験を当時勤めていた益田市立東陽中学校で教えた。塩気がほとんどない水に数粒のコメが浮かぶだけという井上さんが飲んだスープを生徒に味わってもらう取り組みも行った。

 会員の年齢が90歳を超え、思い入れがある「語り継ぐ集い」も昨年で終える話が出た。一部会員の要望で今年も8日に米子市で開いたが、今後の継続は難しい。井上さんらと交流を深めてきた斎藤さんは「体験継承を途絶えさせてはいけない」と、活動を引き継ぐ意向を伝えた。井上さんは歓迎しており、支部内で検討する。

 設立する会では、山陰両県で平和や人権の問題に取り組む人の参加を募る。平和や人権の学習に関心があるのに、どう授業をしていいか分からない教員の参加も期待する。米子市で年1回集まり、各自の実践内容を発表してノウハウを共有する。

 斎藤さんは「実際に体験した方に近づく努力をしながら語り継ぎたい。一人でも私の思いに共感してくださる方がいればうれしい」と話した。問い合わせは斎藤さん、電話0855(32)1087。





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