登山もキャンプも縁結びもコンプリート 折りたたみ小径自転車で巡る鳥取&島根・縦横無尽旅 – Cyclist(サイクリスト)



 2018年、鳥取県の「伯耆富士」(ほうきふじ)こと大山(だいせん)が開山1300年を迎えた。そんな話を聞きつけて「年内に登っておきたい」という思いから、鳥取へのツーリングの計画を立てた。タイムリーなことに、アウトドアブランドの「モンベル」が主催するイベント「SEA TO SUMMIT」の皆生大山大会も今年で10回記念大会となるという。大会のゴール地点は大山の頂上だそうで、ならばこの「SEA TO SUMMIT」に参加すれば仲間と山頂に立てると考え、仲間を募った。「思いたったら吉日」とばかり、なんでもすぐに行動する性格は我ながらいいこともある。時々面倒くさいこともあるが。

米子鬼太郎空港に迎えに行ったついでに鬼太郎にコスプレ。セットがあって雰囲気も最高。妖気を感じた Photo: Akikazu YAMASHITA

最近の旅のおとも「バーディー」

 せっかくの記念大会なので、スペシャルメンバーを集めたいと思い、仕事仲間であるオートバイ雑誌「MOTO NAVI」編集の高梨達徳さんとその友人、アウトドア情報誌「GARVY」編集長の風間貴允さん、モデルでタレントのながともともみさんの4人にチームに加わってもらえるようお願いした。

タレントのながともともみさんと Photo: Akikazu YAMASHITA

 鳥取県の西部に位置する大山は、標高1729mの中国地方最高峰。周囲に他の山がない独立峰で、その様から伯耆富士と呼ばれている。インターネットで画像検索をすると、本家本元の富士山とそっくりで、雪を冠した姿などは見分けがつかないほどだ。美しく、日本最古の“神山”を登り、時間と景色を仲間と共有したいと思った。そして、行くなら自分の自転車で行きたかった。

シルエットが本家の富士山とそっくりな大山 Photo: Akikazu YAMASHITA

 本来なら米子鬼太郎空港が大会の舞台となる大山町に近いのだが、お隣の島根県出雲大社にも寄り道をしたいと思っていたため、「出雲縁結び空港」へのチケットを取った。他のメンバーは米子鬼太郎空港入りしたため、行きは独り旅が楽しめる。

 今回の旅の相棒は折りたためる小径車「Birdy」(バーディー)だ。僕には珍しい選択だが、今年はこの、簡単に折りたたみができるフォールディング小径車でキャンプすることにハマっている。とにかく手軽なのが良い。サクっと輪行ができて、公共交通機関を選ばない。電車、バス、飛行機、フェリー、タクシーなんでも積めるのである。

今回の旅の相棒、バーディー Photo: Akikazu YAMASHITA

 日程は3泊4日。初日は午後5時10分羽田空港発の飛行機に乗り、同6時35分に出雲縁結び空港に到着した。空港で自転車を受け取ったあと、松江駅まで輪行で移動し、その後米子までさらに輪行した。そして、この日は米子のビジネスホテルでチェックイン。夜遅く着いたため、ごはん処がすべて居酒屋しか開いてなく、お酒を飲まない僕はラーメン屋に入ってチャーハンを食べ、その日はベッドに倒れこむように寝た。

挑み応えのある「SEA TO SUMMIT」

 翌日は、ホテルの朝食に付いていた「出雲そば」をすすりながら新聞を読み、コーヒーを飲んだあと、米子駅の広場にてレンタカーで来たメンバーと合流した。バーディーを車に積み込み、「SEA TO SUMMIT」のシンポジウム会場へ。同イベントは大会前日に環境について話し合うトークイベントが行われるのが恒例で、日本全国から記念大会のために駆けつけた市町村の代表者のほか、メディアの数も多く、華やかな式典となった。

これから上る大山。急な登りでも知られる Photo: Akikazu YAMASHITA

 そしていよいよ大会当日を迎えた。「SEA TO SUMMIT」はカヤック、自転車、登山の3つのアクティビティで海から山頂を目指すイベント。順位をつけるわけではないのでレースではないが、制限時間があるので「山のトライアスロン」などと呼ばれることもある。当日は、あいにくの強風とどんより曇り空。波があまりにも高いため、カヤックセクションはショートカットとなった。

初心者とは思えないほど軽快にカヤックを漕ぐながともともちゃん。カヤックはレンタルも行っている Photo: Akikazu YAMASHITA

 バイクセクションの上りが思いの外キツく、なかなか前に進めなかったが、息が上がっては休憩し、休憩しては再び上りを繰り返し、メンバー全員で大山の登山口まで到着。開山1300年の式典も開催されていて、女性だけの神輿を担ぐ行事も見学できた。

 新しくオープンした「大山参道市場」は鳥取ならではの食材を使ったお土産が買える場所。焼き立てのパンとコーヒーが飲めるカフェも併設しており、登山客で賑わっていて大人気だった。

 ここから本格的な登山セクションとなり、山頂に着いたときはお昼を過ぎていた。ほぼ最終チームとしてのゴールだったため、ゆっくり下りることにして山小屋でカップヌードルカレー味を食べた。想像以上に疲れていたのか、あっという間に平らげてしまった。

カヤックを漕ぐはずだった美保湾を望む Photo: Akikazu YAMASHITA
持参した1人用のテントで熟睡。幸せなひととき Photo: Akikazu YAMASHITA

 無事に下山し、他のメンバーは帰路に。高梨さんとその友人と僕は、3人で大山の麓にある大人気のキャンプ場「FBI DAISEN」へと移動することに。真っ暗な道を走ること数時間、キャンプ場に到着した。おなかが減っていたのでキャンプ場内にあるバーで美味しいハンバーガーを食べ、夜は早めに就寝。「SEA TO SUMMIT」で疲れていた身体を暖かいスリーピングバッグにゆだねると、すぐに眠りに落ち、あっという間に朝が来ていた。

キャンプ、そして出雲大社へ

 翌朝、夜露が付いたテントを乾かすために陽が当たる場所を探し歩いた。夜の闇ではそれほど分からなかった周辺の景色があまりにも牧歌的で美しかった。

「FBI DAISEN」のキャンプ場。美しく、最高の居心地だった Photo: Akikazu YAMASHITA

 芝生の香りが心地よく、もう一泊したい気持ちになりながら、後ろ髪を引かれるところを無理矢理出雲大社へハンドルを向けた。キャンプ場からの最寄りの駅で高梨さんの友人と別れ、僕ら2人は出雲大社前駅へと輪行した。途中、鳥取から島根に入県。駅からは再び自転車を取り出して出雲大社まで走らせた。

出雲大社前駅へと輪行。途中、鳥取から島根に入県 Photo: Akikazu YAMASHITA
出雲大社へ向かう一畑電車の車両に描かれた「ご縁」の文字 Photo: Akikazu YAMASHITA

 出雲大社へと向かう途中の参道には観光客が歩いていて、非常に賑やかだった。駐車場と共に自転車置き場もちゃんとあって、セキュリティも安心だ。縁結びで有名なこの出雲大社は、大きな注連縄がさすがの迫力だった。パワースポットとしても注目されているが、まさにパワーをもらった気がする。社の中も想像を超えて広かった。

見る人を圧倒する出雲大社の巨大な注連縄 Photo: Akikazu YAMASHITA
「B.S.K.K GOHAN」の2種類のカレー。絶品 Photo: Akikazu YAMASHITA

 出雲大社から徒歩でも行ける距離にある「B.S.K.K GOHAN」というおしゃれなカフェで遅めのお昼ごはんを摂った。古民家を改装したような雰囲気で、窓の外には日本庭園が見え、それでいてインテリアにはアウトドア用の椅子が並べられていたり、とても良い雰囲気だった。

 ちなみに僕が注文したメニューは、バターチキンとほうれん草の2種類のカレー。味も絶品だった。

ポテンシャル高めの小径輪行旅

 と、のんびり過ごしていたら飛行機の時間が迫っていたので、そこからタクシーで輪行。空港まであっという間に到着した。

旅の可能性を広げてくれる折りたたみ小径自転車 Photo: Akikazu YAMASHITA

 出雲大社の目の前にある某有名カフェチェーン店では、出雲大社前店しか売っていない「IZUMOマグカップ」(島根県特産の”めのう”をイメージしたデザイン)をちゃっかりお土産に買っていたので、空港ではお土産を買わずにそのまま飛行機に搭乗。そして夜には東京に到着した。

 鳥取県の米子の町、大山、そしてFBIキャンプ場、出雲大社と寄りたいところ全部に寄って、そして相棒のバーディーを走らせたり、輪行したりを繰り返して自由に行動範囲を広げられたことはとても楽しかった。フットワークを軽くしてくれる折りたたみ小径自転車。今後はアウトドアアクティビティ、自転車、キャンプをいろいろと組み合わせられそうなポテンシャルを感じた旅だった。



山下晃和山下晃和(やました・あきかず)

タイクーンモデルエージェンシー所属。雑誌、広告、WEB、CMなどのモデルをメインに、トラベルライターとしても活動する。「GARVY」(実業之日本社)などで連載ページを持つ。日本アドベンチャーサイクリストクラブ(JACC)評議員でもあり、東南アジア8カ国、中南米11カ国を自転車で駆けた旅サイクリスト。その旅日記をもとにした著書『自転車ロングツーリング入門』(実業之日本社)がある。趣味は、登山、オートバイ、インドカレーの食べ歩き。ウェブサイトはwww.akikazoo.net



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